心に沈殿していたものが、この素朴な井戸を見たとき、すっときえていくような気がした。
7月8日、カンボジアのプシェムリアツプ中心街から車で1時間、さらに牛車に乗って1時間、電気も水道もない村に到着した。
ボロボロの服を着た子どもたち百数十人が、雨季の為、道の両側に溢れた泥水の前に並び、大きな拍手で私を迎えてくれた。
広場には百人を超える村人が、これから始まる井戸の落成式に向けて木陰でじっと待っていてくれた。
3月に卒業していった子ども達が、学年の最後の取り組みとしてリサイクルバザーを開催し、10万円近い収益をあげた。
彼らは3回にわたって6年生全員の会議を開き、その使い道を「世界では同じ年の子どもたちが水で苦労をしている。井戸を送りたい」と一致した。
6月、彼らの願いはカンボジアで実現した。私はどうしても自分の目で、彼らの思いの詰まった井戸を確かめたかった。
落成式では気温35℃の暑さの中、震える手で感謝の気持ちを読み上げてくれた少女の目と、ひどくやんちゃだけど、リサイクルバザーで頑張った彼らの姿が重なり、胸がいっぱいになった。
これまで使っていた井戸とも言えぬ田んぼ横の濁った水溜り、それに対し、新しいポンプ式の井戸から流れ出る水の透明さに「ああ、やっとここまできた」と思った。
※機関紙「どの子も伸びる・傍若無人たちが井戸を掘る」より一部抜粋
和歌山県 日方小学校 6年生担任 角下麻人 様 2007年6月記
